実験学習1:動物細胞培養実験#1(実験講義資料)
カバーガラス(CG)培養法による細胞染色標本の作製
(細胞運動・形態の観察と基本的性質の考察)
***樹脂ネットCG細胞培養法:Exp1***
(遠心再浮遊細胞による細胞実験(Exp1, 2)の簡易マニュアルと学習概要)
・・ このシートは「テキスト形式」:別様は「図一覧形式」 と 「スライド形式」 ・・
本編の上位サイトは「はじめの一歩の細胞実験:概説」。お絵描き実験へ移動
**下図をクリック拡大表示し、連続スライド形式で利用しよう**
本編の 〔目次〕 へはココをクリック 本編をPDFで参照
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.0 中 Fig.00 右 Fig.000)
**上3図は本編の主要なイメージ**
上図:カバーガラス培養法による染色細胞像(クリスタルバイオレット染色)
本編の方法で作製した約30分培養後の魚類培養細胞FHLS像。染色細胞には、細胞質内の液胞も散見されるが、細胞核、核小体、細胞骨格(アクチン束)、糸状仮足や葉状仮足など、細胞接着の様子や基本的な細胞形態が明瞭に観察される。仮足とは、染色性が低い細胞の偏縁部であり、主要な細胞小器官は観察されず、薄く伸展した細胞膜と細胞骨格により構成され、その波うち運動により移動を可能とする部分。接着伸展が未熟な細胞、つまり培養初期など、では細胞は球状のまま濃染され観察される。
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本編の構成(目次)
(受講者の資料はA, B、担当者の資料はC, D, E)
A. はじめに
B. 実験方法(実技操作の手順)
Step1.カバーガラス(CG)細胞培養装置の作製、 Step 2.細胞液の調製、
Step 3.培養液・細胞液の添加と培養、 Step 4, 5:固定と染色処理、
Step6. 検鏡準備
C. 実験材料と実践概要
:1. 主な材料、 2. 栄研3号スポイトの多目的利用(溶液の配布法)
3. 実験実施の前に:対照実験の必要性
D. 実験考察:実験を通じて培養細胞が示した基本的な性質や現象(事例)
E. 実験材料のリクエスト表(樹脂ネットCG細胞培養法:Exp1)
* その他:細胞培養・培養細胞の考え方 など
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*下記は本編の関連サイト:下記の文字列をクリックし当該サイトへ移動・参照。
(本編の上位サイトは「はじめの一歩の細胞実験」:左の文字列をクリックで移動)。
細胞培養実験集、お絵描き実験、細胞培養/培養細胞/培養実験の考え方、 専門
学習「細胞・細胞培養」の意義は:階層性:視座視点一覧、学習マトリックス
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A. <はじめに>
実験目的 (Fig.1)
体の基本単位「細胞」を生きたまま取り扱う細胞培養実験(実験法の概要は下図)を通じて、体の成り立ちの基本を考えます。「細胞を容器に入れたらどうなるか」という課題(共有命題)に基づき、細胞の行動・運動(形態変化)を観察します。つまり、「細胞の基本的性質」とはどのようなことか、を考えましょう。
実験方法の概要(上図:Fig.6と同じ)
(1-5):カバーガラス(CG)に液止めリング(培養枠)を描き、樹脂ネットに装着し、トレーに置く。 (6):遠心処理で細胞液を準備した後、CG培養面に培養液→細胞液の順でその溶液を滴下。 そのまま培養する(待ち時間?)(7):固定・染色したカバーガラスをスライドガラスに載せて顕微鏡観察する。
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.1 中 Fig.2 右 Fig.3)
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培養細胞・細胞培養について(Fig.2,3,4)
培養細胞とは生体の組織細胞に由来し人為的に維持管理される細胞のこと。細胞培養とは生体組織の細胞が生きるその存在様式(微小環境)をシャーレなどに再現すること。具体的には、固相・液相・気相(細胞培養3要素+α:上図)の設定と管理により成り立つ。その結果、培養細胞は生体細胞の基本的な性質を少なからず顕示する。細胞培養実験の方法、経過、結果は、従って、生体との類似性や相関性から考察すべき対象である。
* 補足:培養3要素+αについて具体的な物質や役割を意識してみると興味深いことが分かるはずです。なに・なぜ・どうして・どのようにして:それ本当?
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.4 中 Fig.5 右 Fig.6 )
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用語解説(Fig.5)
1)動物細胞の基本的な性質の1つに足場依存性(適切な物質を識別・接着し生きる性質)があげられます。 2)細胞が底面に張り付く行動を細胞接着・接着結合と言います(インテグリンとECMの結合)。 3)細胞が接着する部分・物質を接着基質と言います。 4)基質の類似用語には、培養基質、足場、細胞外マトリックス(ECM)、生体では基底膜などと言います。ちなみに基質(マトリックス)とは何かを生み出すところというニュアンスです。 5)細胞培養には時間が必要であり、我々にとっては「待ち時間」ですが、細胞にとっては「生きるに必要な自律的な活動時間」としてたいへん重要です。
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B. 実験方法:実技操作・手順
Step1.カバーガラス(CG)細胞培養装置の作製
(授業時間を考慮し本工程は事前準備として行う))
注意:1)カバーガラスには手書きの「黒印」がある。その印が左上になるガラス面が「細胞の培養面」である。また、右図の丸内が培養面なので触らないように注意する。2)カバーガラスの左右2mm幅は余白(輪ゴム止め域)とする(下図参照)。3)液止めリングをCGに描く時は、「ガラス割れ」を防止するため、固い平板(テーブル)に台紙(ひな形)・CGを載せ描く(紙タオルなどの上ではひび割れが生じる)。 補足:液止めリングを描く台紙(ひな形)は「ココ」をクリックで表示・印刷し使用する。
□1)黒印が左上の状態でカバーガラスを台紙(Fig7)に載せる。
□2)下絵の円をガラス面に細書き油性ペンで描く。
□3)描いた丸細線の上を、マーキング色鉛筆(あるいはパラフィンブロック)を用い、強い筆圧で繰り返し「線」を描き、液止めリングとしての太線を作る。切れ目がないように塗りつぶす。
□4)培養面を上にしてCGを樹脂ネットに輪ゴムで装着し、トレー(シャーレ)に置く。完成
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.7 中 Fig.8 右 Fig.9 )
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Step 2.細胞液の調製(遠心分離と再浮遊):下図を参照。
<細胞液の確認と準備:実施担当者の作業>
- 細胞のフィルムバッグを摘み持ち目視観察する。細胞の塊が見えるはず。異常がないかを確認する。補足:顕微鏡にフィルムバッグをセットして低倍率で観察すると細胞の塊が見えるはず。
- フィルムバッグを手のひらに載せて、水平振動を加え細胞液を十分に流動させ、巨大な細胞の塊を分散させる。目視確認する。
- 50mlビーカーなどに細胞のフィルムバッグを立て、ジップロックシールの上(溶着シールの下)をハサミで切り取り、バッグを開封する。
- ポンピング部を押しつぶした状態で、栄研3号スポイトをバッグに差し込み、ポンピング/ピペティング操作を数回行い、細胞を分散させる。目視確認。
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.10 中 Fig.11 右 Fig.12)
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.13 中 Fig.14 右 Fig.15 )
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<細胞の遠心分離と再浮遊:Fig11-13>
□1) フィルムバッグの細胞液1.5mlを小型遠心チューブに取り、遠心分離(6500rpmくらいで10〜15秒)。
補足;本操作は実施担当者が行い、遠心後のチューブを受講者に配布する。遠心後は細胞ペレットの所在を目視確認。
□2) 受け取った遠心チューブを開け、上澄みを逆さにて捨て、口元の余液は紙タオルに付け吸い取る。
□3) キャップを閉じ、テーブルに遠心チューブの底を強く20回打ち付ける(タッピング処理)。
□4) フタを開け培養液(B-Med)1.5mlを加え、スポイトで軽く5回ピペティングし細胞を再浮遊する。
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補足 〔一般的な遠心分離機(15mlバケット、1800rpm x 90秒)の場合: Fig14, 15を参照〕
- 遠心チューブ(切断スポイト)の作製:栄研3号スポイト(2本)のメモリ1.5のラインをハサミで切断する(遠心チューブとして利用、1本はバランス用)。補足:この操作による「切断スポイト」は、以下の操作で、例えば「小試験管」などとして繰り返し作成・利用する。
- 上記の「細胞液の確認と 準備」を参照し、フルムバッグ細胞を準備する。
- その細胞液を、必要量(例えば3ml)を、上記で作製した切り取りスポイト(遠心チューブ)に加える。バランスチューブには同量の水。
- 遠心分離機に細胞液のチューブとバランスチューブをセットし、1800rpmで90秒の遠心処理を行う。温度設定は必要としない。微量遠心分離機を使用する場合の遠心条件は下記を参照。
- 上澄みの除去:紙コップの上で遠心チューブを逆さまにして上澄み(上清)を捨てる(液が途中で止まったポンピング部を軽く押して排出)。肩口に液が残ったら軽く振り回してできるだけ排出する。スポイトの切り口の余液は紙タオルの上で吸引する。(上澄みはできるだけ残らないようにする:重要)。
- タッピング処理:チューブの底を目視し、細胞のペレットができていることを確認の後、チューブの底をテーブルに20回程度打ち付け(タッピング処理)、細胞のペレットを分散させる。
- 遠心分離した細胞液と同量の培養液(B-Med:この場合は3ml)を新しいスポイトに取り、遠心チューブに加え、数回ポンピングし細胞を再浮遊させる。完成:その細胞チューブはスポイトと一緒に小型ビーカーなどに立て置く。
- 次の工程(Step3:細胞液の添加と培養)へは休みなく進める。
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Step 3.培養液・細胞液の添加と培養
(作製した樹脂ネットCG培養器はトレーやシャーレ内に置いて操作する)
□1)スポイトを用いて、左側の液止めリング内(培養面)に培養液(B-Med)を5滴、続いて、再浮遊した細胞液を3滴、滴下し培養を開始する(動かさない、室温を確認__℃)。
□2)15分から25分後(あるいはそれ以上:Fig.17)に、右側の培養面に培養液と軽く再浮遊させた細胞液を上記1)と同様に滴下し、更に5分間くらい培養する。
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.16 中 Fig.17 右 Fig.18 )
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Step4, 5, 6:固定と染色処理、検鏡準備
注意:固定液と染色液は危険液と考え慎重に扱いましょう。手に付いたら水洗してください。
□Step4-1.固定処理:樹脂ネットを立てて細胞培養液を捨て、2つの培養面に固定液(G-Fix)2滴を滴下し、2分間くらい放置。その間に、次の水洗のため水コップ3個を用意する。
□Step4-2.水洗:樹脂ネットのツマミで持ち上げ、水コップ(1)に30秒程度(以上)浸ける。沈下した時はピンセット(割り箸)で取り上げ、更に水コップ(2)と(3)に30秒くらい(以上)繰り返し浸ける。終了後、樹脂ネットを軽く水切り(CGが飛ばないように注意)し、トレー(シャーレ)に戻す。
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.19 中 Fig.20 右 Fig.21)
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□Step5-1.染色処理:染色液(CV)を3滴ほど滴下し、2分間(それ以上)放置する。その間に、次の工程「水洗」のためコップの水を入れ替える。
□Step5-2.水洗:上記Step4-2と同じ操作を行う。トレー/シャーレ内に付着した固定染色液は水道水で洗浄しよう。
□Step6.検鏡準備:樹脂ネットの輪ゴムを外し、そのままCG細胞面の上に水を1滴ほど滴下し、スライドガラスを載せ(水で)密着させ(押してはいけない)、スライドガラスを反転させる(細胞面が水で封入される:水封入)。 あるいはCG標本が乾燥した後、スライドガラスに細胞面が上の状態でCGを載せ、両サイドをテープで貼付ける。
注意:水封入標本は乾燥するとその後の観察には使用できない(細胞が変形する)。乾燥前に紙コップの水に浸け10分程度放置し、自然にカバーガラスが遊離したら、細胞面に注意し取り上げ、自然乾燥させ、保存する。あるいはその前に再染色する。
以上で完成。顕微鏡観察を開始する。使用した物品の整理(片付け)も行うこと。
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結果と考察につい(Fig21):
今回の実験法や観察結果から、細胞はどのような行動や形態を示しましたか。染色標本を観察し簡単なスケッチを行い、気づいたことを丁寧に箇条書きにし、更に、話合いを行ってください。
例えば、ある野生動物の基本的な行動・活動について問われた場合、貴方はどのように回答するでしょうか(その動物の基本的性質とは?)。つまり、同じような観点から細胞についても考察し、細胞の基本的な性質とは何かを話し合ってみましょう。
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C. 実験材料と実践概要
<1.主な材料>
実験キット構成品:□1.カバーガラス(略号CG)、□2.樹脂ネット+輪ゴム、□3.細胞(魚類細胞FHLS)、□4.栄研3号スポイト、□5.小型遠心チューブ、□6.培養液(B-Med)、□7.固定液(G-Fix:グルタルアルデヒド混液)、□8.染色液(CV:クリスタルバイオレット)、
実施者が準備する物品:□9.マーキング色鉛筆(又はパラフィンブロック)、10.トレー(又はシャーレ)、□11.ガラスビーカー(50ml用)、□12.遠心分離器、□13.はさみ、□14.細書き油性ペン、□15.スライドガラス、□16.紙タオル、□17.紙コップ(水洗やゴミ捨て用)、□18.スコッチテープ、□19.ピンセット、□20.温度計、□21.タイマー、□22.光学顕微鏡 、□23.ひな形台紙(下記補足の1を参照)
補足:1)液止めリングを描く台紙(ひな形)は「ココ」をクリックで表示印刷し使用する。2)実験キットの溶液(B-Med, G-Fix, CV)の必要量が少量の場合、スポイトパック(溶液を入れ先端を熱溶着・封入したスポイト)で提供する時もあります(その時はWebサイトの場合、下記のFig28を参照)。
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.22 中 Fig.23 右 Fig.24 )
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<2. 実践的な栄研3号スポイトの多目的な利用(授業実験における溶液の配布法)>
少量の溶液の取扱いは生徒さんが苦手とする作業です。それで溶液、特に固定液や染色液は安全・確実な操作のため「清浄な小試験管」に分注し、転倒防止のため試験管スタンドに立て、スポイトでその溶液を使用することが基本と思います。
しかし、迅速・簡便・確実に加え安全、更に後始末も考慮すると下図の様式(イメージ)もその理にかなっているような気がしています。つまり、栄研3号スポイトの多目的な利用です(図24を参照)。
栄研3号スポイトの刻印1.5mlレベルをハサミで切り取ったものは代用試験管(5ml容量)になります。「肩」があるため安全操作に適しています。実践的には、1)その溶液チューブ(代用試験管)が倒れないこと(透明カップなどの場合は必ずオモシを入れ安定化させる)、2)溶液を滴下するスポイトに取り違えが生じないこと、加えて、3)後始末が容易なこと、にも配慮する必要があると考えています。補足:細胞液・培養液に使用したスポイトの洗浄や再生が簡単です。固定液染色液スポイトは破棄する。
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<3. 実験実施の前に:対照実験の必要性>
本実験「細胞染色標本の作製・観察:細胞運動と基本的性質」は迅速・簡便な6工程である。
Step1.カバーガラス(CG)細胞培養装置の作製、 Step2.細胞液の調製、
Step 3.培養液・細胞液の添加と培養、 Step4.固定処理、 Step5.染色処理、 Step6.観察、
実験の心構えは「実験とはともかく何かを確かめること、では何を知りたい・確かめたい」としたい。つまり、「細胞を容器に入れたらどうなるか」ということを念頭としてほしい。その為に必要なヒントを以下に記す。
本実験に関連した生細胞の運動に影響を与える重要な要素は、1)培養基質、2)培養時間、3)培養温度、4)細胞密度、である。そこで時間的な余裕がある時は、それぞれについて下記の方法で分担検討してみることも有意義であると考える(対照実験の必要性:実験担当者が担当実施する、あるいは再実験・発展実験として下記に基づく対照実験を計画する)。
1)培養基質:カバーガラスの対照として「スライドガラス面」に液止めリングを描き細胞培養をしてみる。 発展的には「コラーゲンなど」の天然型基質による実験。
2)培養時間:細胞の自律的な活動時間なので、室温レベルでは、45分程度まで設定してみる。
3)培養温度:細胞活動の適温を25℃から28℃とした場合、低温20℃で行うとどうなるかを検討する(氷水の袋をシャーレのフタの上に載せ培養、あるいは高温域として使い捨てカイロを載せる)。
4)細胞密度:細胞液の滴下量を多くする・少なくするとどうなるか。また、遠心分離処理を行わず細胞液を滴下するとどうなるか、についても検討する。
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.25 中 Fig.26 右 Fig.27)
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<4. 観察と結果考察法の事例>
結果1:__分培養の細胞形態(スケッチ)
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結果2:__分培養の細胞形態(スケッチ)
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結果と考察:今回の実験法や観察結果から、細胞はどのような行動や形態を示しましたか。染色標本を観察し簡単なスケッチを行い、気づいたことを丁寧に箇条書きにし、更に、話合いを行ってください。 例えば、ある野生動物の基本的な行動・活動について問われた場合、貴方はどのように回答するでしょうか(その動物の基本的性質とは?)。つまり、同じような観点から細胞についても考察し、細胞の基本的な性質とは何かを話し合ってみましょう。
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D. 実験考察:実験を通じて培養細胞が示した基本的な性質や現象(事例)
(下記は考え方です。E、F、Gは今回の実験では確認できないので補足です)
メッセージ:何事も平素な視点で考えましょう・話し合おう。つまり、「構造:要素の配置とその繋がり」、その考察の視点は「形・役割・仕組み(原理)、由来」である。どのような要素が変化し役割を示し、またその由来はどのようなものか、である。
本実験の構造レベル(階層レベル)は「細胞」であり、本レベルは「組織」と「細胞小器官」により重層深度化が図られる。では、本実験で細胞は組織様に変化したか・細胞の構造には小器官が認められたか、である。その考察の視点は「形・役割・仕組み・由来:〔部位・形状・名称・繋がり・区分(構成)〕・役割・仕組み・由来」である。役割は重要なので「2系6要素:受容・伝達・実施、吸収・運搬・排出、など」から補完する。つまり、学習マトリックスの3軸に基盤を置く生物学習構成論が成り立つ。
- 接着:はじめ浮遊していた球状の細胞は、底面に沈下後、足場/基質となる物質(カバーガラスの表面物性、あるいはコラーゲンなど)を認識し接着した(容器を動かしても浮遊しなくなった)。
- 伸展:培養時間の経過に従い球状の細胞は扁平な形に伸展した。つまり、接着(細胞表面のインテグリンと基質との結合)という反応・信号が細胞内(裏打ち構造)に伝わり細胞骨格アクチン線維の変化をもたらし形が変化した。
- 形態:その過程で細胞骨格に基づく糸状仮足や葉状仮足が生じた(観察された)。仮足部分は細胞辺縁部のアクチン線維による膜伸長であり、細胞骨格以外の細胞小器官は観察されない。
- 移動・配列:伸展細胞は隣接細胞と協調的に移動・配列し重なることはなかった。結果的に細胞密度が適度な場合、敷石を敷き詰めたような細胞集落(コロー)のような配列を示した。数の多いところでは単層の細胞シート状を示した。
- その他:底面の接着細胞の上に位置した球状の細胞は基質との接触がないため、また細胞-細胞間反応のため、ほとんど形態変化を示さなかった。足場や隣接細胞に影響を受けない細胞は足場非依存性であり、ガン化細胞などと呼ばれる。
補足:上記に関連する学習項目を図説集などで探して、その詳細を話し合ってみよう。継続的な発展実験としては「細胞シートの形成「培養細胞による組織形成の基礎実験:お絵描き実験」などが成り立つ。また、細胞培養3要素+α(Fig3)の各項目の具体性や役割を考察しよう。その視座は学習マトリックス。細胞シート(上皮組織)についてはデジタル組織顕微鏡観察で、または組織自主トレを参照する。
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.28 中 Fig.29 右 Fig.30 )
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<上記の続き>
6. 増殖・接触阻害:長時間の培養を行えば、隙間があれば分裂増殖し、切れ目のない細胞シートを形成する。但し、隣接細胞と接すると細胞増殖が停止する(接触阻害という現象:シグナル伝達により細胞周期のG0期となる。がん抑制遺伝子産物(Rb?)と鎖伸長遺伝子産物(E2F?)が結合状態であり、ヒストンデアセチラーゼが結合状態で働けない。転写抑制の状態となる。)。
7. 細胞シートの形成:最終的に、切れ目のない集落「単層の細胞シート:上皮組織様の形態」を形成した。 切れ目や傷があれば、そのフリーな信号が細胞周期の活性化をもたらし分裂増殖する。
8. 機能発現/分化:更に、例えば培養3要素などの培養条件を整えると機能的な細胞となる。最終的には細胞死に至る。
上図の説明:カバーガラス細胞培養法による染色細胞像(クリスタルバイオレット染色)
動物細胞は2重膜シャボン玉のような「膜系構造体」である。浮遊状態ではよって「球状」であるが、培養により接着伸展すると細胞骨格(特にアクチン線維)の再編成により扁平な形状となる。インテグリン-ECM(細胞外マトリックス/接着基質)の結合とは、シグナル伝達の最初の一歩であり、インテグリンの裏打ち構造に変化をもたらす。つまり、細胞骨格の再構成である。
固定染色したFHLS細胞は、細胞質内の液胞も散見されるが、細胞核、核小体、細胞骨格(アクチン束)、糸状仮足や葉状仮足、接着斑(細胞と基質の結合部位)など、基本的な細胞形態が容易に明瞭に観察される。仮足とは、染色性が低い細胞の偏縁部であり(図を参照)、主要な細胞小器官は観察されず、薄く伸展した細胞膜と細胞骨格により構成され、その波打ち運動により移動を可能とする部分。接着伸展が未熟な細胞、つまり培養初期など、では細胞は球状のまま濃染され観察される。よって経時的な標本作製により、細胞の形態変化(細胞運動)の観察が可能となる。
細胞の基本的な変化は、未接着の球状細胞→接着した球状細胞→扁平な伸展細胞→配列状態の細胞(細胞コロニー)→(分裂増殖)→(接触阻害)→(上皮様配列細胞) →(細胞死/アポトーシス)、である。
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参考資料
D. 実験材料のリクエスト表(樹脂ネットCG細胞培養法:Exp1)
細胞実験キット(CG-1)の基本単位は4人分(1グループ/班分)、あるいは4回分(カバーガラス4枚:8培養)と考えてください。下表は「授業実験」を想定したものですが個別の予備実験などにも用います。下線に数値をもれなく記入し、実施目的などのコメント、使用予定の遠心分離機も添え、お知らせください。
*カバーガラス1枚で2培養を行う。 *栄研3号スポイトによる1滴は0.05mlとする。
*授業実験の場合は「予備」数量を2斑分と考えていますが、如何でしょう:______
*試行/予備実験の時は右列の「希望数量」のみを目的に従い算出し提出してください。
**下記のリクエスト表を別紙(PDF)で参照する時は「ココ」**
実験項目:樹脂ネットCG培養法による細胞染色標本の作製
実施担当者:________
目的:□試行:____、□____のための予備実験、□授業実験:_____
(コメント:____________________________)
実施日:H_年_月_日、 実施時間/時間構成:_____________
担当者 人+受講者 人=参加者総数 人。
総数÷4人 =___: __グループ(斑) |
# |
材料/物品(略号) |
必要量/1人 |
必要数量の算出(総斑数+予備1斑分) |
希望数量 |
1 |
カバーガラス
(CG) |
1枚/1人:2培養 |
4枚/班 x グループ数__班
=__枚+予備__枚 |
___枚 |
2 |
樹脂ネット |
1枚/1人 |
4枚/班 x グループ数__班
=__枚+予備__枚 |
___枚 |
3 |
輪ゴム |
2個/樹脂ネット |
8個/班 x グループ数__班
=__個+予備__個 |
___個 |
4 |
スポイト
:栄研3号 |
1パック10入り:下記「スポイトの用途と必要量」を参照。 |
___pc |
5 |
培養液
(B-Med) |
0.6ml/2培養/1人
(6滴/1培養) |
2.5ml/班x グループ数__班
=___ml+予備___ml |
___ml |
遠心再浮遊用:1.5ml/チューブ x グループ数__班 =__ml |
6 |
細胞 (Cell) |
0.3ml/2培養/1人
(3滴/1培養) |
1.5ml/班 x _グループ数__班
=___ml+予備___ml |
___ml |
7 |
微量
遠心チューブ |
1個/班 |
グルーブ数__班+予備2個 =__個 |
___個 |
8 |
固定液 (G-Fix) |
0.1ml/2培養/1人
(2滴/1培養) |
0.5ml/班xグルーブ数__班
=___ml+予備___ml |
___ml |
9 |
染色液 (CV) |
0.4ml /2培養/1人
(4滴/1培養) |
2ml/班xグルーブ数__班
=___ml+予備___ml |
___ml |
*パラフィンブロック(マーキング色鉛筆の代用)など必要とする時は記入する。
10 |
パラフィンブロック |
1個/班 |
1個/班 x グルーブ数__班=__個 |
___個 |
11 |
φ10cmシャーレ |
1枚/一人 |
用途:CG培養装置のトレー |
___個 |
12 |
φ35mmシャーレ |
|
倒立顕微鏡を現有する場合 |
___個 |
*液止めリングのひな形台紙は解説サイトのPDFを利用してください「ココ」。
あるいはリクエスト:__人分。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<栄研3号スポイトの用途・必要量 ・・・・・ □必要総数は____本>
*実施担当者のスポイト必要量 ・・・・□必要数は____本
□1)細胞液(Cell)を遠心チューブに分注するスポイト→1本、
□2)培養液・固定液・染色液を分注するスポイト→各1本で3本、
□3)培養液・固定液・染色液を各斑に配布するため必要なスポイト
(切断スポイト/代用試験管用) :3本/班 x グループ数_班=__本、
*受講者のスポイト必要量 ・・・・ □必要数は____本
(班当たりの必要量は9本)
□1)遠心分離細胞の再浮遊用(1本/班x グループ数_班=_本)
□2)培養液(B-Med)の滴下用(2人で1本):2本/班x グループ数_班=_本
□3)再浮遊の細胞液滴下用(2人で1本):2本/班x グループ数_班=_本
□4)固定液(G-Fix)滴下用(4人/班で1本):1本/班x グループ数_班=_本
□5)染色液(CV)の滴下用(4人/班で1本):1本/班x グループ数_班=_本
*予備のスポイト必要量 ・・・・ □必要数は____本
:予備は各班当たり2本くらいと考えてください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
追加補足1:栄研3号スポイトの使用法について(授業実験を想定して)
□1)スポイトを立てても倒れない「50mlガラスビーカー」を試験管スタンドとして使用する。ない場合は「透明使い捨てカップ:おもりを入れて安定化させる」を使用する。
□2)培養液、固定液、染色液の分注用の容器は、スポイトの1.5mlレベルをハサミで切り取った「代用試験管」を使用すると迅速簡便。
□3)班当たりの各溶液の必要量は1人分を予備として加え分注、グループ(斑)に配布する。
□4)溶液を滴下するスポイトは、安全確実・取り違えが生じないように、使用する前に名称・ID略号を記入し使用する。スポイトの使い回しをしない。
□6)使用器具は使い捨てもあり得るが、廃棄物削減のため、あるいは繰り返し実験のために、再生することも可能である。栄研スポイトの洗浄はとても簡単なので、再利用が可能と思います。
□7) なお、マイクロ遠心チューブ(2ml容量)のスタンドが見当たらない時は、コルクボーラーで穴をあけた厚手の発泡スチロールを使用する。
補足2:「はじめに」の補足
培養液の成分や基質の種類、また必須添加物FBSなどの少し詳しい情報は
別様サイトなので「ココ」をクリックした移動・参照してください。
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その他.
1. 実験学習のポイント:細胞運動に影響を及ぼす実験条件ついて
動物細胞は、足場となる接着基質(ECM)を認識し、インテグリン-ECM結合により接着・伸展運動(シグナル伝達による細胞骨格の再構成)を開始し、形態を変化させ、更に移動・配列し単層の細胞シート(上皮様形態)を形成する。このセンテンスの前部は本編解説の実験の基本命題(実験原理)であり、その主題は「細胞運動:その形態と変化の観察」である。後半はその発展実験と位置付ける「お絵描き実験:・組織形成形態形成に関わる基礎実験」における課題であり、接着基質(ECM)など細胞が生きるに必要な数々の重要な要素が含まれる。つまり、本細胞実験系は「動物細胞の基本的な性質の観察と理解」を主な目的としているが、それぞれには実験を成立させ得る(に影響を及ぼす)実験条件の考察も含まれる。それらの考察は実験学習の構造化に不可欠であり、学習者の視座視点に深みを与えると考えられる
例えば、本実験の方法は上述の「実験方法」に従うものであるが、細胞運動・細胞形態に影響する実験条件は、1)培養時間、2)培養温度、3)細胞密度、である(とする)。そこで本節ではこれら要素の取扱いについて、その考え方とその対応法の概要を記し、独自の実験プラン立案に向けた参考としたい。但し、「細胞培養ガラス」の培養面は2面(リング)であり、フィルムバッグ細胞は10ml、培養液が20mlであるので、細胞実験キットにより設定可能な実験区の数は最大40面(細胞培養ガラス20枚)である。
〔1.培養時間〕
培養時間とは短絡的には「待ち時間」であるが、細胞自身にとっては「自律的な活動時間」であり重要である。そこで、本実験では時間差をつけて細胞液を添加し、固定処理は同時に行う、という方法で培養時間の違いを設定する(ことも可能である)。細胞運動は温度依存性であるが、例えば培養温度を28℃程度に設定した場合、培養初期の球状細胞は10分ほど経過すると急速に形態を変化させ扁平な伸展細胞となる。更に、培養すると、充実した伸展状態となる。よって、5分、10分、20分、30分(あるいは40分)間隔で細胞液を培養面(4つ)に加え培養を行い、固定染色は同時処理として細胞形態を評価する。但し、未接着の細胞は固定時に除去され、伸展細胞の上に位置した細胞は多くが球状のままに観察される。注意:細胞液を添加する時は、改めて均質な細胞浮遊液となるように軽くポンピング操作を行った後に行う。シャーレ蓋の開閉時に振動をできるだけ与えないこと、がポイントとなる。
〔2.培養温度〕
培養温度の違いから細胞運動・形態変化を確認する。つまり、最適培養温度28℃に加え、5℃間隔で設定する。例えば、18、23、28、32、37℃。水温の違う水袋をシャーレの上に乗せる、などにより温度区を設定する。培養時間は20分程度とする。
〔3.細胞濃度〕
動物細胞は基質(ECM)との接触反応により細胞運動を開始するが、隣接細胞との接触に対しても反応する。いわゆる、細胞-基質間結合、細胞-細胞間結合に関係した現象である。ここでは底面に沈下した細胞が隣接細胞と接触する場合とそうではない状態を細胞濃度の違いから検討する。
つまり、1)高い細胞密度(細胞濃度)で培養すると細胞は隣接細胞の影響を受け伸展速度は遅くなる。2)沈下した細胞の上に乗ってしまった細胞は接着基質との反応ができないため伸展運動への移行ができない(球状のまま)。3)底面に接着伸展した細胞は隣接細胞と接触状態になるが、しかし、細胞の伸展部(仮足部)などが重なり合うような行動は示さない。つまり、4)伸展配列を示し細胞集団(コロニー)を形成する。
高密度の実験区は、培養面に添加する細胞液の量(滴下量)の違いから設定するが、培養時間にも配慮し上記の状態(細胞集合体の形態など)を評価する。なお、細胞シートの形成(上皮組織様形態)とその意味意義の考察を目的とする場合は、本実験の発展実験と位置付ける「お絵描き実験」において実施を予定する。
〔4.その他の情報〕
細胞培養実験には種々の要素・条件が関連するが、細胞実験キットを用いた実験学習のため、本編では最小限の解説としたが、更なる情報を得たい場合はサイト「細胞培養・培養細胞・細胞培養実験の考え方」を参照してほしい。
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2. 動物培養細胞実験の特徴とその必要性
動物培養細胞実験、いわゆる「細胞培養技術」に関わる基本的な考え方の要点を以下に列記する。
1) 「培養細胞」とは、生体組織から摘出されシャーレなどで人為的に維持管理される細胞のこと。なお、繰り返し操作を加え継代培養が可能な細胞は「株化細胞」と呼ばれる。 2) 「細胞培養」とは、生体組織の細胞が生きるその存在様式(微小環境)を人為的にシャーレなどに再現することである。なお、 3) 動物細胞の基本的な性質は「足場依存性」であり、「細胞シートの形成」を基本とする。 4) よって、一般的な動物細胞は、培養容器(培養フラスコなど)に「3層構造」として維持管理される。つまり、「固層、液層、気層」を必要とする。
5) 「固相」とは、細胞が接着基質とする容器底面であり、生体においては基底膜や細胞外マトリックス(ECM)などが相当する。 6) その接着細胞を覆う「液層」とは「培養液・培地」であり、いわゆる生体基本分子(無機塩、糖、アミノ酸、ビタミン、血清、あるいは細胞増殖因子・ホルモン)の混合液、つまり、生体物質代謝の成分に相当する。 7) 「気相」とは培養容器の液層上部に位置する空気層であり、気相-液層-細胞層としてガス交換、つまり「内呼吸・エネルギー変換」などに関与する。
8) つまり、培養細胞が生きるに必要な基本条件とは「接着基質、基礎培地、必須添加物(増殖因子やホルモンなど)」の3要素の充足であり、その他として「培養温度、無菌性、pH維持、細胞の継代維持」などを必要とする(細胞培養3要素+α)。
9) その結果、細胞培養を開始すると細胞は容器底面(接着基質)上で、接着・伸展、移動・配列、分裂・増殖、接触阻害などの基本現象を示し、多くの培養細胞は「単層細胞シート:上皮様形態」を形成する。必要に応じて機能分化の様態に変換することも可能である。 10) よって、細胞培養実験とその経過・結果は「生体組織細胞との類似性」から考察すべき対象となる。
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上述から俯瞰する細胞培養実験とは、いわゆる「動物代替実験系」であると同時に、その構成要素・様態の詳細は、「細胞の分子生物学」に関わる状況・現象そのものである。
つまり、仮に「細胞培養実験」が実践学習の場においても容易に導入が可能な対象(実験教材)であるなら、その学習と考察のベクトルは必然的に無理なく動物個体の成り立ちに加え、分子レベルに基づく「形・役割・由来とその仕組み」へも向かうと考えられる。
例えば、「細胞自身は何をしている・どうのようにして生きている」といった簡単明瞭、且つ極めて重要な共有命題の提示がはじめて可能となる。つまり「細胞機能とその仕組み」といった分子レベルの学習であり、よって、細胞実験は学習者へ具体的且つ統合的な視座視点の提供を可能とすると考えられる。共有命題に基づく優れた考察への道筋に明確な起点を与えると考えられる。 この観点についてはサイト「階層性:視座視点一覧」あるいは「細胞生理の基本」を参照。なお、生物学習の基本的な枠組み・ロジックは、他教科における基本的な必須学習項目(例えば元素周期表・化学方程式)と同様に重要であり、その基本は「学習マトリックス」と考えたい。
なお、細胞に関わる詳細は「細胞の分子生物学」などを参照としたい。また、それらの理解に基づく本編の利用や発展実験の継続は有意義と考える。
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9. おわりに:
以上、細胞培養技術に基づき実践学習の場に向けたその簡便法を記した。「技術」とは対象物の物性理解に基づき開発される方法である。多細胞動物の細胞はそこここに落ちているものではなく、生体組織の細胞に由来するものである。つまり、細胞培養とは「生体の組織細胞の存在様式/微小環境を再現すること」にその底辺を持つ。その実験学習の経緯・結果は、よって、生体との類似性の考察に基づき実施されるものである。単なる特殊技術の学習として扱ってはいけない。
なぜそのようなことが可能か・体の中でもそうなのか、という姿勢が必要となる。
それで細胞培養実験は重要である。実体と概念の連立連携は生物学習の理念であり、本編に基づきはじめの一歩を経験すれば、少なからず多様な取り組みが可能となる。例えば、前出のお絵描き実験に加え、浸透圧実験、分裂細胞の観察、細胞周期解析のための染色標本の作製、環境毒性物質の評価、ウイルス実験学習など。つまり、本格的な細胞培養技術の習得も必要とするが、それらに対する視野が付加されること自体が重要と考える。生命科学社会の現状を共有するためにも、実施の有無にかかわらず、培養細胞の重要性を実践学習の場においてもそれなりに共有することは重要と考える。
終わります。読んでくれて有り難う。
専門的な観点から「細胞培養&培養細胞に関わる資料」は別サイトを参照とする(ココをクリック)。
本編は以上です。おわり
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***下記は補足図***
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.31 中 Fig.32 右 Fig.33 )
Fig29は溶液スポイトパックの開封:ビニール袋にスポイト先端とハサミを入れ、飛散防止をして開封すること。
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.34 中 Fig.35 右 Fig.36 )
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.37 中 Fig.38 右 Fig.39 )
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.40 中 Fig.41 右 Fig.42 )
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.43 中 Fig.44 右 Fig.45 )
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.46 中 Fig.47 右 Fig.48)
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.49 中 Fig.50 右 Fig.51)
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.52 中 Fig.53 右 Fig.54)
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<55-57>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.55 中 Fig.56 右 Fig.57)
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.58 中 Fig.59 右 Fig.60)
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